ビジターズインダストリーを視察する
 2001年に行われた今回のカリフォルニア・ナパ訪問は、何よりも、戦後になって初めて本格的にワイン造りが始められたにも関わらず、現在の名声を博すようになったカリフォルニアのワイン産業をつぶさに視察するのが目的でした。ワイン造りの歴史の長さでは、日本とほぼ同じであるにも関わらず、ワインの品質やその知名度は世界の認める所となり、そして何よりも観光客を迎えるビジターズ・インダストリー(VI)で世界をリードしているといっても過言ではない。では、その産業の実態はどのようになっているのか?今回は日本とカリフォルニアの比較をしながら探ってきました。
 
 訪問は、リッジワイナリーに始まり、モンダヴィ・オーパスワン、アケイシア、スタッグス・リープ、ベンジガー、カーネロスといった世界的にも知られたワイナリーばかり。モンダヴィでのワイナリーツアーでは、案内ルートや設備を観察し、またアケイシアではワイナリーの株主を大事にし、グループ企業として確実に経営していく姿を見ることが出来ました。

 スタッグス・リープは、1976年のパリ・ワインコンテストで、並み居るボルドーの1級シャトーを押さえてトップになったことで有名。オーナーの哲学が反映されたワイナリーで、土壌に合ったフランス品種でポテンシャルを最大限に引き出した辛口ワイン造りをする、という基本に忠実であることによって高品質ワインと名声を獲得したことが、オーナーの言葉に如実に表れていたのが印象的でした。

 ベンジガーは、VIという点では、最も学ぶべきところが多かった場所。訪問した人全てに、葡萄栽培・ワイン造りを学んで欲しい、そして自分達の哲学を知って欲しい、といった姿勢が感じられました。ワイナリー内は解説付の専用ミニトレインで周るのですが、自然農法(ビオディナミ有機栽培と独自の環境保全農法を組み合わせたもの)の大切さが良く分かり、またオーナーのVI精神、環境配慮の優しさがあちこちに表れていました

 一方、日本でのVIはと言えば、観光客の皆さんが“本当に来て良かった”と思えるようなレベルには達していないように思われます。しかし、近年ワインのレベルが確実に上がってワインコンクールでの入賞も増えてきたのと平行して、VIの精神が感じられるワイナリーが増えてきたのも事実です。ワイナリーズクラブとしては、このVIの点でも、今後先頭に立っていき、ワイナリー全体の意識改革を進めて行かなくてはならないと、今回の訪問で実感しました。

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